他人との距離感

他人の心は、いくら考えても理解しようとしても、やはり限界がある。
どんなに近しい人であっても。

それは、自分も自分なりの価値観や概念・世界を持っていたり、
他人には他人なりの価値観や概念・世界を持っているということも大きい。

当たり前が当たり前ではないし、本当に人それぞれで、”それぞれ”がよいのだ。

だから、他人のことを自分は理解できていると思うことも違う。
どんなに仲の良い人であっても、知らない部分・理解できない部分はきっとある。

そんなことを前提として持っていると、
他人とも程よい距離感でお互い心地よい関係を築いていけるのかなと思う。

共感力の高い人は、特に他人との距離感を保ちづらい。
相手の気持ちを察しやすいがために、距離を近づけすぎてしまう。
でも、それによって自分が苦しくなったり、相手に意識がいきすぎたりして、自分が疎かになりがち。その結果、どんどん自分を消耗していく。

気持ちを察したとしても、”そうなんだね”と受け入れて終わりにする。
その察したものに対して、”どうにかしてあげよう”とか”どうにかしないと”なんて思う必要はない。
そう思えるようになると、距離感を保ちやすくなる気がします。

”気が付いているのに、手を差し伸べてあげない自分が何だか冷たい人”
と思ってしまい自分を責めてしまうことさえも私はある。

でも、必ずも”手を差し伸べる”ことがいいとも限らないということ。
手を差し伸べないことで、”相手が自分の力で解決する力を養っていく”こともできる。

人はみな、自分の力で生きていけるようになっている。
乗り越えられることしか起きないようになっている。
だから、手を差し伸べないことは”相手の力を信じる”ことにもなる。

何かをしてあげること、手を差し伸べることをしなくても、”近くにいてあげる”ことだけで本当は十分なのだ。
”何あったら助けを求められる存在であること” ”本音で話せること”これだけで十分。

だから、自分が発する何気ない一言、その一言がその人に気づきを与えたり、救うこともある。それは、やってみないとわからない。

結果を期待し、想定するのではなく、その時出てきた生の気持ち、心を伝えること。
そんなことが大事な気がします。